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救急救命士になるには?仕事内容や求められる資質と能力を紹介

2023.01.17

カテゴリー:
ストレッチャーを用意する救急救命士

「人を助ける仕事がしたい」。そう思っている方にとって、救急救命士はとても魅力的な職業のひとつです。高校生の皆さんの中にも、実際に助けてもらった経験がある方がいるかもしれませんね。緊急時に駆けつける姿を見て、憧れている方も多いのではないでしょうか?

この記事では、救急救命士の仕事内容や求められる資質・能力について詳しくご紹介していきます。救急救命士を目指すための進路や取得しておきたい資格などについても解説しますので、興味のある方はぜひ参考にしてください!

救急救命士とは?

救急車に乗り込む救命救急士

 
救急救命士は、救急救命処置を医師の指示に従って行う仕事です。急病やケガ人を乗せた救急車が医療機関に到着するまでの間、薬剤の投与や心肺蘇生など応急処置を行います。この救急救命処置は、救命救急士国家試験合格者のみが実施できるものです。

救急救命士は消防署に所属していることが多いですが、自衛隊や海上保安庁、警察など、幅広い就職先があります。そのほか警備会社や医療会社など、民間の企業に勤める救命救急士も。救急救命が必要な現場であれば当てはまるため、幅広い活躍の場があります。

救急救命士と救急隊員の違い

消防署の救急隊は、3人1組で救急車に搭乗します。3人のうち少なくとも1人は、救急救命士です。救急隊員も患者への応急処置を行いますが、救急救命士は「救命救急処置」を行えるため、より多くの処置を施すことができるという違いがあります。

救急救命処置で行うことができる行為としては、例えば以下のようなものがあります。

● 気管内チューブを通じた気管吸引
● 血糖測定器を用いた血糖測定
● 自己注射が可能なアドレナリン製剤によるアドレナリンの投与
● 産婦人科領域の処置
● 小児科領域の処置
● 精神科領域の処置

このように、本来は医師が行う医療行為を事前に行うのが、救急救命士の役割です。例えば「救急救命士が気道の確保を事前に行うことで、病院到着後に医師がスムーズに薬剤を投与できた」などのケースが考えられます。

救急救命士の仕事内容

救急救命士は大きく分けて、2つの仕事をしています。それぞれの仕事内容について詳しく見ていきましょう。

・救急救命処置
救急救命士の仕事内容でメインとなるのが、救急救命処置です。医療機関に到着するまでの間に処置を行うことによって、回復・救命の可能性を上げることにつながります。
救命救急処置は従来医師にしか許されていませんでしたが、救急救命士は医師の指示の下で救急救命処置ができるようになりました。ちなみに、救急救命処置は特定行為ともいいます。

・事務作業
多くの救急救命士の所属は消防署です。待機時間中は救急車内の機器の整備や薬剤などの補充、書類作成も行います。また消防署員として学校や企業に出向いて応急処置の指導をすることもあります。

救急救命士の仕事のやりがい

救急救命士のやりがいは、傷病者の命を助けることでしょう。人の命を預かる責任重大な仕事であり、現場ごとに環境が変わる非日常の連続。そのプレッシャーは大きなものですが、傷病者が助かった後に家族や本人から感謝を伝えられることがあります。

助けた瞬間だけでなく、その後になってお礼の手紙をもらえることもあります。「救ってもらった」という最大限の感謝を受け取ることができる。これこそが救命救急士の仕事のやりがいではないでしょうか。

救急救命士の仕事の流れ

救急車に患者を運び込む救命救急士

 
救急救命士の一日は、どのような流れなのでしょうか?ここでは、救急救命士の多くが所属する消防署での仕事を例に、流れを見ていきます。

1.出勤・交代

出勤したら、まずは交代のための引き継ぎを行います。車両点検や当日の運搬先の病院などをチェックし、出動の準備をします。

2.待機

出動要請がなければ基本的には待機していることになりますが、そのあいだは訓練などを行って過ごします。

3.昼食

12:00~13:00頃にかけて、お昼休憩と昼食をとります。昼食中でも緊急の出動要請があれば、すぐさま出動します。これは昼食だけに限らず、待機・仮眠時も同じです。

この後は夕食と待機を繰り返し、22:00~翌6:00頃までは仮眠の時間です。仮眠の後は待機し、交代・引き継ぎを終えて勤務終了となります。

救急救命士の年収

救急救命士の多くは、日本全国の自治体の消防署に勤務しています。消防署員は地方公務員なので、給料や待遇は各自治体により異なりますが、救急救命士の平均年収は約420万円~550万円となっています。
消防組織には明確な階級制度があり、同じ年齢や勤続年数でも階級によって給料に大きな差があります。事務職の地方公務員より給与水準が高めで、特別な手当もつきますよ!

救急救命士に必要な資質と能力

自信の表情を浮かべる救命救急士

救命救急士として活躍していくためには、どのような資質や能力が必要とされるのでしょうか?ここでは、救急救命士に必要とされる資質と能力を解説します。

冷静な判断力と決断力

救急現場では、傷病者からの聞き取り、外観、バイタルなどの数値を総合して、患者の搬送先を選定するなど冷静な判断が要求されます。日頃から症状別に対応可能な病院を把握しておくことはもちろん、最寄りの病院で対応できない場合、ほかに対応できる近隣病院に切り替えるなど、状況に合わせた決断力も求められます。

入念に準備できる力

救急救命処置では、傷病者の症状や状態、病院到着までの時間を加味した適切な処置が求められますが、救急救命に関する最新情報をアップデートできていないと間違った判断になりかねません。また、日常業務として救急車の機器の点検や薬剤の補充など、いざというときに確実な対応ができる準備が必要です。この普段の情報収集や準備こそが救急救命士の能力に直結します。

体力と筋力

救急救命士には体力も要求されます。24時間勤務では、たび重なる出動に対応できる体力が必要です。現場を選ぶことはできませんから、傷病者を助け出すときや搬送するときにストレッチャーが使用できない場所もあります。このような場合には、救急隊員が直接担ぎだすなどかなりの筋力が求められることもあるのです。こうした事態に備えて、日頃から待機中に訓練を行っています。

救急救命士になるための方法とは?

救急救命士になるためには、具体的にどのような進路を選択すれば良いのでしょうか?救命救急士の世界の現状と併せて、進学先や就職先について解説します。

救急救命士の世界の現状

多くの救急救命士は消防署に勤務し、要請を受けて現場まで向かいます。「2021年版 消防白書」(総務省消防庁)によると、2020年中の救急車の出動件数は593万3,277件となっており、前年比で10.6%減少しています。

前年比では出動件数が減少していますが、全体で見れば年々増加傾向にあります。そのため、救命救急士は不足しがちなのが現状です。これは都心部に限ったことではなく、地方でも同じです。裏を返せば、全国に就職先がある職業といえますね。

しかし、消防署の救急救命士の採用枠にも限りがあります。各自治体の消防士採用試験に合格し、救急隊になる必要があるので、競争率は高めです。消防士以外では、病院や介護施設、警備会社などに勤務する方もいるようですよ!

救急救命士になるための勉強ができる大学・学部

救急救命士として働くには、各自治体の消防士を目指すのが一般的です。そのためには、以下のような大学の学部や学科で学ぶのが現実的なステップとなるでしょう。多くは救急救命士コース、救急救命学科などの学科です。

<救急救命士になるための勉強ができる学部・学科>
● 上武大学 ビジネス情報学部 スポーツ健康マネジメント学科 救急救命士コース
● 千葉科学大学 危機管理学部 保険医療学科
● 帝京平成大学 健康医療スポーツ学部 医療スポーツ学科 救急救命士コース
● 帝京平成大学 健康医療メディカル学部 医療科学科 救急救命士コース
● 国士舘大学 体育学部 スポーツ医科学科
● 杏林大学 保健学部 救急救命学科
● 日本体育大学 保健医療学部 救急医療学科
● 新潟医療福祉大学 医療技術学部 救急救命学科
● 東海学院大学 人間関係学部 心理学科
● 愛知淑徳大学 健康医療科学部 スポーツ・健康医科学科

救急救命士に必要な資格や受験すべき試験

救急救命士になるためには、救命救急士の国家資格が必須です。また、救急救命士の多くは消防官なので消防官採用試験に合格することも必要となります。

2015年度に行われた「第38回救急救命士国家試験の合格発表」(厚生労働省)によると、救急救命士国家資格の合格率は80%以上で、比較的高い割合となっています。ただし、自分も容易に合格できると考えず、養成校でしっかりと勉強し試験に向けた計画的な対策が必要です。高校生のうちから取り組んでいけば、合格に近づくはず!

救急救命士になるために目指すべき就職先

救急救命士として働くためには、消防署の職員を目指すのが現実的な選択肢となります。実際、救急救命士の就職先の多くは消防署です。「救急救命士を目指す」というよりは、「救急救命士の資格を持っている消防士になる」というイメージが近いかもしれませんね。

救急救命センターで働くという選択肢もありますが、医療機関での求人はあまり多くない点に注意しましょう。このほか、求人数は少ないですが自衛隊や海上保安庁なども就職先となります。

救急救命士になった後のキャリアプラン

救命ヘリコプターと消防車

救急救命士になった後のキャリアプランですが、基本的には消防署内での昇進を考えることになります。その上で最も重要なのは、多くの現場経験を積むことです。経験が認められれば、救急救命士を指導する立場の「指導救命士」を目指せます。

そのためのスキルアップとして、各種救命ライセンスコースを受講するのもおすすめです。試験に合格できれば、プロバイダー資格を取得できます。

さらには各コースの条件を満たし、インストラクターとして指導者を目指すこともできます。
● 蘇生の最初の10分間にアプローチする方法を学ぶICLS(Immediate Cardiac Life Support=即時心肺蘇生法)
● 現場での各段階において必要とされる観察・処置を見落としなく迅速に実施できるようになるJPTEC(Japan Prehospital Trauma Evaluation and Care=外傷病院前救護ガイドライン)
● 周産期医療対応を学ぶBLSO(Basic Life Support in Obstetrics=産科における基本的生活支援)

消防や医療関係で10年以上のキャリアがあれば教員要件を満たせるので、教育機関で指導する道に進むことも可能です。消防職員に限らず、救命処置の指導者としての道を考えていけそうですね!

救急救命士への道について「JOB-BIKI」で情報収集してみよう

救急救命士は、経験と知識をもって人命救助に関わることのできる、とてもやりがいのある仕事です。医療機関に到着するまでの処置がその後を左右することもあり、責任の大きな仕事でもあります。しかし、人の命を助けられたときの喜びは、何ごとにも代え難いものです。

まずは救命救急士国家資格の取得を目指して、大学で基礎を固めておくことが大切です。高校生のうちから情報収集しておくことで、進学もスムーズに行えるでしょう。
「biki-note」には「消防士になるには」の記事も掲載されています。ぜひ参考にしてくださいね。

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